フロントラインを観て
先日は、映画「フロントライン」観て来ました。良かったです。
2020年2月3日、乗客に新型コロナウイルスの症状が発生した豪華客船プリンセスダイアモンド号が横浜港に入港。最終的には、乗客乗員3,711人のうち712人が感染し、13人が死亡しました。それから約1か月後の3月1日には、すべての乗客・船員の下船が完了しました。
当時、急遽対応することになったのが災害医療を専門とする医療ボランティア組織のDMATでした。DMATは、医師、看護師、医療事務職で構成する、大規模災害や事故などの現場で活動できる専門的な訓練を受けた医療チームです。しかし、日本には未だ、未知のウイルスに対応できる経験や訓練されている組織はありませんでした。DMATを統括する救急医の結城英晴(小栗旬)と厚生労働省の立松信貴(松坂桃李)が対策本部で指揮を執ることになります。
当時、私は、中国武漢で新しい未知のウィルスが発生して、日本にも拡がる恐れが高いという報道を聞いていましたので「とうとう、日本にも来たな。」という思いで、このニュースを見ていました。その時先ず思ったのは、この新型コロナウィルスの診療を金子クリニックは受けるのか、受けないかという事でした。その当時、ウィルスの情報が未だ限られていました。感染経路が不明で、空気感染の可能性も否定できないという事。ただ、感染した場合、全年齢層の死亡率は、概ね2.3%という情報は有りましたので、何とか闘えるレベルではと思いました。
(実際には、2021年6月までの日本での統計では:陽性者全体の致死率は6.5%(66例/1,010例)。)
しかし、それから約半年間は、国の方針として未知ウィルス蔓延防止の為、発熱などの症状があっても、直ぐに病院に受診するのは、なるべく控える様に周知され、高熱が続く場合は、帰国者、接触者相談センターを通して、感染症指定病院の帰国者、接触者外来(発熱外来)に受診する事になっていました。その為、軽微な発熱などの風邪症状の人は、一般病院、診療所には受診しなくなりました。その後、医師会からPCR検査事業を開始する連絡があり私も検査要員に手を挙げて参加しました。2020年秋くらいからは、診療所でも簡易抗原検査キットやPCR検査が可能になり発熱外来を始める事が出来ました。発熱外来を始めるにあたり、受付事務、看護師、看護助手全てのスタッフに、感染のリスクを受け入れてもらう必要が有りました。
幸いにも、スタッフ全員が、それぞれ自分家族の理解をも得て、賛同してくれました。
あの時、スタッフの理解、協力が得られたからこそ、今、コロナ禍を乗り越える事が出来たと、あらためて感謝しています。
映画では、主に医療従事者の苦悩や困難が描かれていますが、同時に乗客、対応にあたった船上スタッフ、そしてその家族の様子も細かに描かれています。DMAT医師、看護師、乗船スタッフ、当事者それぞれの家族、厚生労働省医官、検疫官、報道番組制作者、番組スタッフ、SNSの投稿者と様々な立場で新型コロナ事象に対応してる様子が様々なエピソードで描かれています。
脚本担当の増本プロデューサーは、DMATの結城さん、厚生労働省の立松さんをはじめ、ダイアモンドプリンセス号で何があったのかを、多くの当事者の方々からリサーチして脚本を書き上げたそうです。映画監督の関根 光才さんは、本作のテーマは人類共有の問題なので、ワンサイド的視点からの解釈を観客に示すのではなく、ニュートラルにすることで開かれた映画したかったそうです。増本プロデューサーは、「誰かの主張を見せる映画ではなく、観る人に自分で考える余白を残したい」と語っています。確かに、この映画はヒーローや悪人を描いていません。その時、その当事者だった沢山の人達が、経験した事のない混乱した状況下で、それぞれが、必死に対応し行動しています。そして、その結果が、人に安心や勇気、希望を与えたり、時には、他人を怒らせたり、失望させたり、傷つけたりします。しかし、考えてみると、それだけ緊迫、混乱している状況下では、仕方がない事情もあったんだと思いました。
この新型コロナ禍の5年間を経験した結果、社会は多くの事を失いましたが、同時に多くの事を学んだと思います。この5年間の始まりのエピソードを、今一度振り返り、この経験から得たものを、明日からの新たな1日に生かして行けたらと思いました。
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医院長 金子 功
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